第2章 TRIO
「あ、もうこんな時間。ねえ強志くん、電車来ちゃう」
日も大分落ちた頃、桃浜がそう言ったので、勉強会はお開きになった。
「悪い伊豆、最後にトイレだけ貸して!」
赤坂はそう言ってトイレに駆け込んだ。
桃浜は自分と赤坂のカバンを抱えて、玄関口でローファーに足を通す。
赤坂がトイレから出るのを待ってボンヤリしていたら、桃浜が「ねえ」と口を開いた。
「ねえ伊豆くんさっき、私が寝てる時に何かしてた?」
オレは目を見開いた。
何かって、なんだ?
「別に…何も」
「ふうん」
桃浜を見てオナニーしてた、なんて、言えるわけがない。
バレたら終わりだ。多分何もかも。桃浜とも、赤坂とも。
心臓がバクバクする。動揺が顔に出ていなければいいが。
「何でそんなこと聞くんだ?」
「だって、伊豆くん…」