第2章 TRIO
少ししたころ、桃浜が目を覚ました。
「ん〜…あれ、伊豆くん、何時…?」
「18時過ぎだよ、桃浜」
「強志くん、まだ来てないの?」
「ああ、来てない」
オレがそう言うと、桃浜は「もう!遅い!」と口を尖らせながらスマホを手に取り、メッセージを打ち込みはじめた。
寝ぼけ眼をこすりながらスマホをツンツンする姿が可愛い。
例えそのメッセージが、オレではない男に送られるものだったとしてもだ。
その時、家のインターホンが鳴った。
「あ、来たのかな」
「来たな」
オレは自室から出て玄関口に向かい、ドアを開けた。
「悪い、遅れた!」
赤坂強志が汗だくで立っていた。愛しい恋人に会うために走ってきたのだろう。
「有、怒ってる?」
急いで靴を脱いで上がる赤坂。ああ、怒ってるよ、と告げて2人で階段を上がる。
部屋に入ると、桃浜が手鏡を見ながら髪を直していた。
桃浜の髪はふわふわで本当に可愛い。例えそのセットがオレではない男のためのものだったとしてもだ。