第12章 お庭の小屋で
(本当は偶然じゃなくて…でも…黒さんはそんな…)
菜箸
「私は疑問に思っています。」
魅菜
「ん?」
菜箸
「今回の魅菜さんも前の女性も何かに怯えたように、
黒様から逃げようとしていた…」
(それは…)
ぬらりひょん様から変に気になる事を聞いたからだ。
魅菜
「菜箸さん…お庭の小屋を知っていますか?」
菜箸
「庭の小屋ですか。
…はい存じておりますが、あれは小屋ではなく…
黒様のご家族の墓です。」
魅菜
「え?」
菜箸さんはあの小屋を墓と言う。
菜箸
「狼族は家族を本当に大切にするんです。
骨が朽ちるまで側に置くのが一般的…
あの小屋がどうかしたんですか?」
魅菜
「実は…わたし…あの小屋の中に入ったんです…
そうしたら人骨と一緒に腐乱した死体があって……」
菜箸
「人骨?
あー、それは黒さんの身内の方々ですね。
見ての通り、黒さんは人間に近い姿ですから…
腐乱していた死体はおそらく、今さっきお話しをした女性でしょうね。」
魅菜
「…家族しか入れないお墓に……
その女性を入れたって事は…
黒さんは………」
(駄目だ……なんか居なくなりたい……)
菜箸
「…そうですね、愛しておられるようでしたよ。」