第4章 さよならの夏
しつこいくらいの太陽。
いい加減照らし続けるのも疲れるんじゃないかなんて、童話的なことを考えたくなるくらいの晴天。
もう日課となったその道。
同じ事を繰り返す毎日に、あんなに嫌気が差していたのに、今はちっともそうは思わなくて。
今日もリョーマに会いに行く。
少し風のあったその日は、いつもよりも木々が茂ってみえた。
たどり着いたその場所で、一面しかないそのコートを見回してみたけれど。
リョーマの姿はなかった。
あくる日も、そのあくる日も。
いつもと同じ時間、同じ場所。
寸分も、狂いのない。
同じ事を繰り返して、繰り返して。
針金のネットにしがみついて。
けれど。
二度とリョーマに会えることはなかった。
それは暑い、暑い、夏の日の出来事だった。
たった一度だけ、交わしたキス。
お互い知っているのは、名前だけ。
照り返すアスファルトが、眩しくて目を閉じた。
瞼の中に描かれる情景があまりにも懐かしくて、思わず涙が流れた。
アスファルトまで流れたそれは、なにもなかったように
あっという間に、乾いてまた同じ時を繰り返す。
それは、夏の日のメモリー。