第1章 出会い
それは暑い、暑い、夏の日だった。
照り返すアスファルトが眩しくて目を閉じた。
瞼の中に描かれる情景があまりにも懐かしくて、思わず涙が流れた。
アスファルトまで流れたそれは、なにもなかったように
あっという間に、乾いてまた同じ時を繰り返す。
「暑いなあ・・・」
は、汗ばむ腕を額に当ててぎらぎらと照りつける太陽を睨み返す。
真夏というには、まだ少し早いこの時期。
毎日、飽きずに太陽は照っていた。
暑すぎて、なんにもしたくない。
そう思っている毎日だった。
平凡。
平凡な毎日が幸せなんて言うけれど、そんなわけない。
つまらない。
同じことの繰り返し。
同じことを繰り絵して、日に日に年をとっていく。
「なんか、刺激的なことないかなあ」
パタパタと胸元のシャツからわずかな風を送り込んだときだった。
スパーンとはじける音がして、首を動かす。
いつの間にこんなところまで来たんだろう。
まったくの無風だったのに、わずかでも風が入り込んだのはここが高い鉄橋の下だからだったんだ。
恨みたくなるほど、照り付けていた太陽は鉄橋に隠れて影ができる。
はじけた音の正体。
すぐ左にある緑色の、針金のネットに跳ね返ってコロコロと転がっていく。
それを目で追いながら、は顔を上げた。
白い帽子。
首筋から流れる汗が、衣服の中をつたって、少し腰の辺りが透けていた。
目が離れない・・・