第3章 脱走
灯翠は、シャワーを浴びていた。
あのあと、男がバスタオルを持って入ってきて、灯翠の拘束を外し、バスルームへ連れていったのだ。
目隠しも首輪もとられ、1人でシャワーを浴びている時間は、幸福だった。
そこで、灯翠ははっとする。
今、灯翠は拘束を解かれている。
奴隷の証である首輪もついていない。
もしかしたら、逃げられるかもしれない。
失敗したら、どうなるかわからない。
しかし、このままここにいても、地獄であることに変わりはなかった。
毎日シャワーを浴びさせてもらえるとも限らない、
今しかない…
灯翠はシャワーを止め、脱衣場に出てバスタオルで身体を拭き、それを巻いてゆっくりと脱衣場の外へ出た。