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【完結】和菓子と、幼馴染みと……?【轟焦凍】

第2章 思い出のかしわもち





「今日は、かしわ餅がいいよ。」


 夏ではないかと思うほどの蒸し暑い初夏。そんな蒸し暑い初夏でも、甘い物は忘れずに食べたくなる。今日もまた、癒やしの和菓子屋にやってきた。


「やっぱり、あまみも人気ですよね。」
お婆ちゃんの和菓子屋は"あまみ"という名前で、そのままの意味であり何だか可愛い名前だ。
「そんなことなかろう。」と言いながら、お婆ちゃんは柏餅を入れていく。



「轟さんとはどうなったんだい?」
「!、いやぁ……そのどうもなってませんよ。」


 そうだ、どうもなってない。ただ、大人になってもっと格好良くなったなと告白まがいをされただけだ。あの後から、全然交流はないし。私もあのあと、名前を伏せて友達に相談したところ『それは普通に接していればいいと思うよ。』と言われてしまった。
あと、未練がましい。とも……。嫌、その通りだけだど私には難しい気が!!



「あの後、轟さんが『焦凍が連絡をくれた!』と凄く喜びながらきたよ。」


 あの人も親ばかだねぇ。と言いたそうな表情をするお婆ちゃん。私もそう思います、連絡きました。『今後もよろしく。』と言われてしまい、断れなかったのが私の弱いところ。お金を払い、柏餅を受け取る。
今は、甘い物に集中だ!そう思い、出口の方を見るとガラガラと戸が開く音が聞こえた。


「いらっしゃいませ。」

 お婆ちゃんの優しい声は響き渡り、また、和菓子を落としそうになった。




「親父が言っていたところはここか……。」


 ボソッと独り言が聞こえる中、周りを見渡していたその目線は私を捉えて瞳の中に写りこんだ。なんていう偶然でしょう、噂をしていたからくるとはそのことか。
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