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月の囁き

第8章 曖昧な関係


「はぁ・・・」

そんな私のため息につられるように
"ぽん"と音を立てて現れたのは

私の正体を知ってる
この世界で唯一の味方の信ちゃんで


「まーたお前はため息なんかついて…

もともと不細工な顔がさらに不細工に
なっとるぞ笑?」


なんて失礼極まりないことを
笑顔でしれっと言いながら
当たり前のように私の隣に腰を下ろす…



その憎たらしい言葉と笑顔に


「どうせ私はかわいくないですよ…
それで信ちゃんに迷惑かけてますか…?

かわいくないから…

だからすばるくんにも抱き枕のごとく
毎度毎度一緒のベッドで寝てるのに
熟睡されてさ…

どうせ私なんて…」



そう言って唇を尖らしていると

そんな私の顔に
信ちゃんはこれでもかと顔を近づけて



「酒くさっ…?
お前未成年のくせに酒飲んだんか!?」




なんて驚いた顔をして

私の無駄にポカポカ暖かいほっぺたを
でっかい手のひらで包み込む…



「違います…よ?
あれです…これはジュースですよ?
冷蔵庫にあったから頂いたんですけど…
これ…すごーく甘くてしゅわしゅわで
美味しいんですよ笑?」



そう言って挟まれた顔を
下に向け空き缶を指差すと



床に転がる空き缶を見た信ちゃんは
ため息を吐き出しながら


「あほか…お前…

これはチューハイや!!

甘くてしゅわしゅわした酒や!!」



なんて呆れたように
私のおでこをペチリと叩く…



叩かれたおでこをさすりながら


「あほじゃありませんし…

酔ってないです!!

証拠に歩いて見せます!」



なんて意地になって

勢いよく立ち上がってみたものの



なぜだか

ぐにゃりぐにゃりと
忙しく曲がる床や
ぐるぐる回る天井に


気持ち悪くなって

ソファーに座り込んだ瞬間


ふわりと引き寄せられた頭は

信ちゃんの膝に着地した…
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