第3章 〇何処にも行かせない(善法寺伊作)
次に私が目覚めたのは、忍術学園の医務室の布団の中だった。
最初に目に入ったのは涙を流す伊作の姿。
「………?」
涙でぐしゃぐしゃな顔の伊作に「なに泣いてるの?」と私が小さく声をかけると、彼ははこちらを見つめて笑顔を浮かべ、もっと顔をぐしゃぐしゃにして泣いた。
その後私が目覚めたと聞き医務室にはたくさんの人が押し寄せた。
仙蔵に文次郎、長次に小平太、留三郎や先生、くのいちの後輩たちもかけつけてくれた。
どうやら私はここ数日ずっと目を覚まさなかったらしい。
「、良かった……っ」
そう泣き笑う伊作は、私が目覚めるまでずっと私の隣にいてくれたらしい。
を守れなかったのは自分の責任だと。
あの時私は敵に手裏剣を浴びせられたそうだ。
敵は密書のみならず私達の命を奪う目的で、普通なら選ぶことないルートを選択し、私たちを襲ったそうだ。
幸いすんでのところで私が避けたため手裏剣は急所には当たらなかったようだ。だがこめかみと右腕に見事に浴びてしまい、大量出血という大惨事になってしまったのだが……。
「ひとまず、元気そうで良かった」
「お前は元気だけが取得だからなぁ!!」
「……怪我人に言う言葉それかい」
私に安堵の言葉をかけた仙蔵と、馬鹿にするような台詞を吐く文次郎。
とりあえず文次郎は1発殴るべきかな?と思い拳を握りしめる。
が、それを知ってか知らずか「まぁ後は2人きりでどうぞ~!」と、文次郎は他の面々を連れてそそくさと部屋を後にした。
2人……私と伊作を残して。
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