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【実況者】蟹の好きな花【rtrt夢】

第7章 やきもちの本音


 昨夜から彼には驚かされっぱなしだ。小さい頃から殆どずっと同じ時を過ごしてきたのに、彼の行動はいつだって意外で可愛くて、時々かっこよくて、飽きなんて一生感じないと思う。
 私はもう我慢ならなくて、ベッドから降りて早足に彼の元へと近付き、勢いよく抱き着いた。瞬間「のわッ!?」と彼の口から悲鳴が上がったけれど、その両手はしっかり私を受け止めて包み込んでくれている。赤いカニさんの胸元にぎゅう〜っと顔を寄せた。

「ルトくんだいすき」
「ぅえッ!?」
「今後はどうか気をつけてくださいね。間違えても決してお酒は飲まないと、私に約束してくれたら許してあげます」
「う、うんっ、気を付けます、約束します!」
「ふふ、じゃあ、この件はもうおしまいです。朝ごはんありがとう、嬉しい。とっても良い匂いがしてて、もうおなかぺこぺこなんです、はやく食べましょう?」
「あ、ほ、ほんまに? よかったー! んじゃ、飲み物とか用意してくるから、椅子座って待っててな!」

 私の身体を少し名残惜しそうに離すと、彼はにこにこ嬉しそうな目をして、またぱたぱた足音を立てて台所へ戻っていった。
 これでは彼の方が私のお嫁さんみたい、なんて。きっと口にしたら、彼は顔を真っ赤に染めて怒るんだろうな。でもちょっとだけ、満更でもない表情をしてくれるかもしれない。

 お酒はやっぱり怖いものだけれど、でもお陰でまた少し私たちの仲が深まったような気がする、そんなことを思う爽やかな朝でした。





-了-
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