第8章 死んでもボク!【十四松】
ボクが目を覚ますとそこは見たこともない河原だった。
「ん?んんー?
ここ…いつも素振りしてるとこじゃ~……ないよね?」
格好を見てみると白装束におでこに三角巾、ふんどし……
なんじゃこりゃー!?
ボクは不思議に思いながら暑いのでゾロゾロしていた服を腰に巻きつけた。
おかげでふんどしがちょっと見えちゃってるけどね。
河原をキョロキョロすると小さな女の子が掃除してた。
「あ、お兄さん起きたー?よく寝てたねー」
「うん!こんちわー!」
「コンチワー!」
挨拶するとニコニコと返事をくれる可愛い女の子。
サラサラのおかっぱ黒髪に赤い着物を着ていてすごく可愛い。
でも、河原のゴミを拾う格好じゃないでしょ。
それにこの河原、すっごい汚い。
「この河原すっげ汚いねっ!」
「うん、すっげ汚い!燃えない物を棺桶に入れないで欲しいよね!」
「う、ん?」
「ん?」
棺桶って?
「んーま、いっか!一人じゃ掃除大変だよねっ、僕手伝うよっ!ぶーんっ!!!」
特技、高速ゴミ拾いで近くに落ちていたゴミを一気に拾い集めた。
「ありがとうっ!お兄さん優しいねっ!」
「あはーボクの名前は十四松!」
「私の名前は桜。よろしくね、十四松。
でも、そろそろ十四松は行かないと駄目だね」
「ん?ボクどこかへ行かないと駄目なの?」
「あっちだよ」
桜と名乗った女の子は川の反対側を指差した。
「十四松―っ!おーいっ十四松ー!」
少し離れたところから、おそ松兄さんの声が聞こえてきた。
「あー!みんないたー!
じゃあ、行かなきゃ。桜ちゃん、お掃除頑張ってね」
「あ、十四松!そっちの川から行くの?」
「え?うん。兄さん達いるし」
「じゃあ、これ掃除してくれたお礼。あっちはすごく深いから舟の人に渡すといいよ」
チャリ、っとボクの手に小銭を置く桜ちゃん。
見たことのないお金に不思議に思いながら、ありがたく受け取ることにした。