第7章 冥土カフェへようこそ【トド松】
無我夢中で叩きつけると、鬼は気絶して倒れた。
「はあっ、はあっ、はあっ、くそっ……!」
終わりだ。これでもうボクはさらに下層の地獄に送られるに違いない。二度とここには戻ってこられないだろう。
「トッティ……」
桜ちゃんのか細い声にボクは我に返って、椅子を投げ捨てた。
「桜ちゃん! 大丈夫!?」
よろよろと起き上がる桜ちゃん。メイド服は破れ、胸元も下半身も丸見えだ。
「トッティこそ、大丈夫ですかぁ……? 桜なんかのために……ありがとう……」
涙をこぼしながらボクを見上げる桜ちゃん。
よかった、無事で……。
「ごめん。もっと早く助ければよかった。ボクは冷たい人間だから、問題を起こすのが怖くて隠れていたんだ……。本当にごめん……」
「冷たくなんか……桜は、トッティが助けてくれて嬉しかったですぅ……すごく男らしかったよ……?」
ボクは震える彼女をそっと抱き締めた。
「桜ちゃん、初めてボクの名前を呼んでくれたね」
腕の中で桜ちゃんがハッとするのが分かった。
「あ、え、えっと……ごめんなさいですぅ。つい……。オーナーからお客様はご主人様って呼ぶようにきつく言われてるのに……」
「ボクはトッティって呼ばれるほうが嬉しいよ。桜ちゃんは偉いね。いつも一生懸命メイドの仕事をしていて。セクハラされても嫌な顔見せずに我慢して笑顔で振る舞って……」
「トッティ……」
身体を少し離すと、ボクは桜ちゃんの唇にキスを落とした。