第5章 (3)Reunion
偶然の再開から少しして…ひとまずカナメくんと分かれた私は宮瀬さんに案内され屋敷の廊下を歩いていた。
「まさか泉さんとこんな形で再開するなんて思いもしませんでした」
「私もです、もう会えないかと…。約束、守れずすみません…」
「いいんですよ、忙しい中手紙で伝えてくれてありがとうございました。それにまたこうしてまた出会えただけで僕は嬉しいんです」
約束を破り、失礼な別れ方をした私に対しても宮瀬さんはこの間と同じ柔らかい笑顔を向けてくれる。
「それは私もです!宮瀬さんの勤め先ってこのお屋敷だったんですね」
「はい、実はそうなんです」
再び会えた喜びで舞い上がり、会話も弾む。
楽しくお喋りをしていると長い廊下もあっという間に感じた。
そうしてたどり着いたのはお風呂場の脱衣場。しかもとても広くて綺麗な…。
「良ければお風呂に入ってください。その間に僕がシャツを洗いますので」
「すみません、何から何まで…」
「いえいえ、あの猫さんとは僕も友達なんです。助けてくれてありがとうございます」
宮瀬さんの笑顔がとても眩しい。
まさにこれは情けは人の為ならず…いや情けは猫の為ならずだ。
「ではお言葉に甘えて、お風呂お借りしますね」
「はい。代わりの服を用意してきますね。お客様用のシャワールームなのでゆっくりしてくださって大丈夫ですよ。服はそのまま置いておいてください。取りに来るので」
「何から何までありがとうございます」
そうお礼を言うと宮瀬さんは笑顔のまま脱衣場から立ち去っていった。
私もそのまま服を脱ぎお風呂場へと足を伸ばす。
「わぁ、肌も結構血がついちゃってる。お風呂借りて正解だったかも」
それにしてもお客さん用のお風呂場があるなんて…この家一体なんなんだ…。
宮瀬さんはお手伝いさんみたいだったけど、桐嶋さんはどんな仕事でここに来てるんだろ?
カナメくんもここに仕事に?でも学生っぽかったし、やっぱりここに住んでるのかな…。
疑問は渦を巻き、ぐるぐると脳内を駆け巡る。
それにしてもこんなお屋敷でイケメンたちに囲まれるなんて…お姫様になった気分だ。
しかも桐嶋さんに関しては、あんな…壁ドンみたいなこと…。
思い出すだけで顔に熱が集まるのを感じる。
このままでは早くものぼせる…!
そう思い、私は体を洗う手を早めたのだった。
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