第2章 ♡プロローグのモノローグ
突然ですがー
私、桜 陽葵(さくら ひまり)は、
なぜだか昔から男運が悪い。
男悪運の始まりは、生まれた時から。
つまり、私の父親だ。
大酒飲みで、毎日毎晩家で大暴れをしては
私も母も手を焼いていた。
母になぜ離婚しないのかと聞いたこともあるが
『ぱぱのしていることが嫌いなだけで
ぱぱのことが嫌いなわけじゃないからね』
だそうだ。
“罪を憎んで人を憎まず”
とても立派な母親だと思う。
そんな私も、母の言葉に感化され
“その”考えを持ったまま大人になってしまった。
だが、きっと、今思えば、
その考えが悪夢の始まりだったのだろう。
私の男悪運は、父親だけではもちろん留まらず、
歴代の最悪彼氏、
およびストーカーを呼び寄せた。
付き合った彼氏は、
ことごとくDV彼氏かモラハラ彼氏。
そして恐ろしいほどに粘着質なストーカーも数名。
それこそ10代のうちは、
家庭環境が悪かったせいか『自分は素敵な旦那さんを見つけることがなによりの夢!』だなんて
未来に出会う男たちに、キラキラと希望を馳せていたのだが.........
20を過ぎたあたりから、さすがに自分の男運のなさを認識せざるを得なくなり
そんな素敵な将来の夢も、ボロボロに砕け散ったのだった。
しかし、それでも私の心の中には
あの言葉がずっと居座り続けていた。
“罪を憎んで人を憎まず”
どれだけ父に暴れられようと、
彼氏やストーカーに暴力を振るわれようと、
刃物のような言葉を浴びせられようと......
私は彼らを嫌いにはなれなかった。
だからー......
彼らを好きになってしまった
“自分”を嫌いになってしまったのだ。
ー愛されたと思った男性には
ことごとくひどい仕打ちを受け、
しかも、私自身にも、私は愛してもらえない。
誰か。
だれか。
たった1人だけでいい。
私は、誰かに.........心から愛されたかった。