第32章 主よ甘き日々を終わりまで3(烏養繋心)
それでもまだ私の弱いところを擦ってくる。
「あぁっ、だめぇ…!!も、こわれ、ちゃ…!!!」
さっきまでのまるで深く愛されているような触れ方と違って、何度も昇らせてくるような激しい行為に頭が混乱する。
それでも、嫌じゃないし、背中にまで回される腕に強く抱きしめられて迎えるソレがあまりにも気持ちよくて、ぎゅっと目を瞑ってしまう。
私からも抱きつきたいのに、やっぱり遠慮してしまって…。
私の手が好意がもし拒絶されてしまったらと思うと、怖くて出来ない。
気まぐれなのに、なんて、言われてしまったら……。
(ううん、そうに決まってるのに……)
無力な学生だから。
住まわせて貰ってるお礼を払っているのに過ぎない。
それでも、名前を呼ばれる度に触れられる度に、私はどんどん好きになってしまっていて……。
貪欲で自分に嫌気が刺す。
「……悪ぃ……!」
なんで謝るんだろう……。
でも一際激しくなる行為が、なんだか嬉しい。
「あ、あ、きちゃ、きちゃううっ………!!
いやぁぁっ!!!」
虚しくシーツを握って、私は先に果てる。
遅れてドクドクと避妊具越しに注がれて、静かに終わりを迎えた。
さっきなんで謝られたんだろう…。
やっぱり、家賃の代わりに体で貰ってることに、罪悪感があるのかな。
でも繋心さんは優しいから、きっとそんなことを思うならやめてくれるはず。
私が好きなこと、バレてしまったのかな…。
気持ちに気づいていても答えられなくてごめん、ということなのかな…。
怖くて、聞けない…。
余韻があまりにも深くて、すごく疲れた…。
力が入らなくて、綺麗にされてもらってる間も目を瞑りながらも考えがまとまらなくて眠れないでいた。
手を繋がれて、繋心さんの頬へと誘導される。
男性特有の骨ばった触り心地。
初めてかもしれなくてドキドキする。
(私から、こうして、触ってもいいのかな…?)
気まぐれかもしれない。
繋がれた指先が熱い。
起きていたのを気付いたら止めさせられそうで、寝ているふりを続けた。
私が出ていく時なら、好きと伝えていいですか…?
そうしたら、否定されても、怖くないから……。