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【短編集】慟哭のファンタジア【HQ】【裏】

第26章 蜂蜜レモネード7(影山end)


さんは、本当に綺麗な人だ。
見た目も、内面も。
だから、皆堕ちていく。
自分も及川さんもまた、その一人。

俺の初恋は、少し変わっていて、レモネードのようだった。
蜂蜜のような濃厚な罠にハマり、そして、ほろ苦いレモンを彷彿とさせる。

さんの身体は、相変わらず、甘ったるく濃厚で、時々ふわっと花の香りがする。
深く交われば交わる程、いつも色濃くにおう。
きっと色んな男がこの香りに溺れたんだろう。
気持ちはわからなくないが、そこだけは変わらずモヤモヤすることだった。
「ひぁあっ……ん、…?
なに、かんがえてたの…?」
後ろから突き刺すように動き、イライラとした気持ちを忘れようとしていたが、残念ながらバレてしまった。
「……別に」
「あぅ、ひ、ひどい…っ、んん…!」
解決しようもない独占欲なんて、意味がない。
早く忘れようと、きゅーっと狭まるナカに身を任せる。
傷のついた背中を撫で、あまりの愛しさに掌に熱が籠っていく。
余裕のない自分が、たまに情けなくなるが、それでもさんは、愛想も付かさずに、一緒にいてくれる。

ただ、デートに毎回兄が付いてくるのは止めてほしい。
「今日の映画ね、この前徹さんと前作を観たんだけどね!」
そして、二人で予習復習してくるのも、止めてほしい。
「またですか……」
「前は恐竜の遊園地潰れちゃったけど、今回こそイケるのかな!?」
「いや、無理でしょ。
大体前だって失敗した要因は変な遺伝子の弄り方するからで…」
二人の仲を取り持ってしまったのを、若干後悔する。
それでも、楽しそうなさんを見ると、ちょっと嬉しくもある。
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