第25章 白昼夢幻想曲5(烏養繋心)
「でも、何年も会えないんですよ」
「だろうな。
お前のが勝手に違う男作んじゃねえか?」
ムッとして思わず睨んで、怒鳴った。
「そんなわけ!!ないじゃん!!!」
「……じょーだん」
「たち悪い、ですっ」
彼はご機嫌とりにといわんばかりに、ポケットから飴を取り出して渡してきた。
今日はイチゴじゃなかった。
「根詰めすぎなんじゃねえの?
もっと気楽になれや」
大きな掌が頭を撫でる。
なんとなくだけど、それで少し落ち着いた。
(やっぱり、シておけばよかったかな、なんて)
「そのうちまたやりたくなる。
その時を待つしかねえな」
「そんな悠長でいいんですか?」
「焦れば焦るほど見失うこともある」
「……そっか…」
大人の意見を参考に、少しだけ前向きになる。
親の意見とはうってかわって、真面目に聞く耳を持てるのが不思議。
きっと同じ事を言われても、反抗していたと思う。
外はもう寒い。
ちらちらと落ちてくる細かい雪を見ながら、家の近くまで送ってもらった。