第17章 常闇の彼方に堕ちていく(黒尾鉄郎)
はずなのに。
先輩に連れてこられたのは、デパートの多目的トイレだった。
「せんぱい、ご、ご飯は?」
心配で念のため聞いてみる。
せっかくのお洒落が無駄だったのではないかという不安に押し潰されそうだ。
私、騙されちゃった…?
楽しみにしていたのに、泣きそうだ。
「や、行くぞ。
ただ、その前に……」
備え付けの簡易式ベッドに座らされ、チュールとレースのスカートをゆっくりと捲られる。
「やっ…!」
先輩は、ふと嫌がる私の顔をまじまじと見て、いつものカッコいい笑顔で、
「あれ?いつもより可愛いな」
と言ってくれる。
一気に照れが出て、身体が熱くなる。
「と、友達が……、化粧してくれて……」
「俺の為に?」
こくこくと頷くと、先輩は一瞬だけ驚いてから、私のグロスで光っている唇にちゅっとキスをした。
「はいつでも可愛いな」
と、耳元で言われる。
「ひゃうっ…!」
私は、この声に本当に弱い……。
先輩はスカートに手を入れ、更にその下の狭い面積の布にまで手を入れる。
「あ、そんな……」
身体は受け入れる気なのに、心が置いてけぼりで寂しい。
結局、身体だけなのかな、なんて、悲しいこと考えている。
割れ目に指が入り、私の蜜がどっと垂れる。
まあいっか、いつものことだし。
そう覚悟を決めたのに、指と一緒に冷たい異物が入ってきた。