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繫がる物語

第8章 第七話


 ふっ、という不思議な感覚と共にエルアは元の世界に帰ってきたが、すとん、と膝をついてしまった。

「許しておくれ、お姉さん。悪気はないんだ。ただ…」
「解ってるよ」
 シュンとしているアラジンに、エルアは立ち上がりつつ、涙を拭うと笑顔で言った。
「ありがとう」
「エルアお姉さん…!」
 それを見たアラジンもまた、安心したように笑い返した。


「あっ、そうだエルアお姉さん!」
「?」
 アラジンが何か思い出したように笑みを浮かべる。
「僕さっきウーゴ君に会ってきたんだけどね、お姉さんに謝っておいてくれないかなって!いくらあの時必死だったっていっても、女性に失礼なことを、って」
「ウーゴ君案外紳士?!」
「ああ見えて純情なんだよ、ウーゴ君!」
 あのマッチョでか…とエルアは思わずそう思うのだった。




「さて…」
 エルアは王宮の広場を見回す。
「まずは…っと」
 壁に氷で張り付けにされている紫髪の男の周囲の壁に逆三角にクナイを投げる。

 そして短く詠唱すると、暖かな橙の光が男を覆い、みるみる氷を溶かしていき更には傷まで癒していった。
「これはすごい…ありがとう、お嬢さん」
「いえ…バカが大変ご迷惑をお掛けしました…少々、下がっていていただけますか?」
 そう言うと、エルアは皆に背を向け、短剣を抜く。

「お嬢さん、お待ちなさい!まさかあいつと戦る気ですか…?!先日の戦い、見ましたが危険です!ここは俺が…!」
 男は前に出ようとするが、エルアは静かに制した。
「大丈夫です。それにいくら治癒したといっても、あなたはまだ全快ではないはず…私に任せてください。それに私、
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