第1章 第一話
「え~、だって、ここのところ毎日追っ掛けっこしてるじゃない、仲いいのねぇ~」
紅玉がそう言うと、ジュダルは何故か、少しだけ慌てたように言った。
「バッ…、な、仲いいって…!だってよ、あいつ、俺に会ったらいっつも逃げやがるんだぜ」
「それはジュダルちゃんが、エルアちゃんに会う度に抱きついたりするからでしょう?そりゃあ逃げられるわよぅ」
「なんでテメェがそれを…!……ババア、まさかテメェ、最初っから…?!
……、ストーカーかよ」
「だ、だだだって、友達のことだから、気になるんだもん…!」
どうやら紅玉、毎日繰り広げられるエルアとジュダルの抗争(?)を毎回最初から見ていたらしい。柱や廊下の陰などから。
「ったくよぉ…。これだからテメーは友達出来ねぇんじゃねーかぁ?」
「なんですってぇ?!ジュダルちゃんには言われたくないわぁ!!」
「俺にはとはどーゆーことだ『俺には』とは?!」
ギャーギャーギャー………
「……姫様ぁ………」
勃発する二人の論争を、紅玉の従者である夏黄文は、ただただ柱の側から見守っているしかなかったのであった。