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繫がる物語

第7章 第六話



 エルアが目を覚ませてしばらくした後、紅玉と夏黄文は徐々に悪化していく王宮の騒ぎで、流石に何かあったのではと思ったらしく、この際直接王に何が起こっているのか聞きに行くということで部屋を出て行った。

「ちゃーんと安静にしておくのよぉ?」
「なるべく部屋から出ないように…ご無理は禁物ですので」

 二人にそういう言葉を残されたが、エルアは二人の気配、もとい霊圧が遠くまで行ったのを確認すると、ジュダルのベッドの脇に座った。

 一応、ここの世界でも霊圧を利用して気配を察知することが可能なようであるのが分かったが、なんとなく霊圧とは別のものっぽかった気がした。
 ルフか、あるいはそれらが発する魔力(マゴイ)か、と
エルアは推測している。 


 
 エルアはふぅ、と息を吐くと、手のひらを軽く突き出しぶつぶつと短く詠唱した。
 と、ジュダルの周りに薄い橙の色の結界が張られる。
 治癒用の鬼道の清浄結界である。
 これで身体が癒えるのが早まるだろう。
(この感じだと、全身骨折、か…)
 遠くから微かに聞こえる喧騒を聞きつつ、エルアは目を伏せる。


 と、少し間を開けた後、コンコンと部屋のドアがノックされ、返事をすると、一人の男がやってきた。

「お前は…。銀行屋か……」
「おや、覚えていただき光栄でございます。エルア様」
 ペコリと頭を下げてきたのは、ジュダルのお目付け役的なものを兼任する財政管理役の銀行屋、と呼ばれる男だった。
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