第4章 第四話
バルバット近海上空
「やーっと着いたわぁ」
「ここが…バルバッド……」
絨毯から身を乗り出し、バルバッドを見渡す。
バルバッドは海洋国で、辺り一帯の島々も全てバルバッド王国らしい。
海の便が良さそうというイメージから、とても栄えた国なのかと思っていたが、どこか暗く、静まり返っているような気がした。
「んで、これからどうするの?」
「まず、王宮に行くんだけどぉ…、王宮は…」
紅玉が立ち上がって、王宮を探そうとした時だった。
突如、凄まじい爆音が轟いた。
「きゃあ?!!」
「姫様っ!」
バランスを崩し、倒れかけた紅玉を、素早く夏黄文が支える。
「な、何?!」
エルアは、爆音の余波と思われる暴風に顔をしかめつつ、元と思われる場所を見る。
と、そこから大量の土煙があがっているのがはっきり見えた。しかし、そのせいで、そこで何が起こったのかが全く見えなかった。
が、エルアはそこから、僅かながら、確かに、感じ取った。
気がついた時には、エルアは絨毯から勢い良く飛び降りていた。
「エルアっ?!」
紅玉の呼びかけにすら反応せず、エルアは猛スピードで下降していく。
「エルアを追いなさい!急いで!!」
紅玉はすぐさまそう命令を出した。