第3章 洒涙雨
【潤】
智の怯えた目が、俺の劣情を煽った。
なんで?
どうしてそんな顔が出来るんだよ?
恋人だろ?
俺たち…昨日今日の仲じゃない…そうだよな?
「智///」
両手を押さえつけたまま、強引に唇を重ねた。
ギュッと結ばれた唇を抉じ開けようとしても、智は増々唇を固く結んだ。
何で?
どうして拒む??
悔しくて、沸き上がる怒りを、どうすることも出来きない俺は、彼の着ているシャツを力任せに引き裂いた。
音を立ててボタンが弾け飛び、見慣れた肌が露わになる。
「智、智…さとし…」
胸の先を口に含みいきなり強く吸い上げ、尖ったそれに歯を立てた。
「痛っ///潤…やめて…潤ってば…ねえ…潤…じゅん…」
ただもう夢中で…
その肌に唇を這わせ、少しずつずらしながら強く吸った。
「…さとし…好きだ…智…」
「………」
身体中余すことなくキスを落として、ズボンと下着を一気に引き下げた。
……
………
でも、ソコは、何の反応もしていなかった…
「…さとし…」
我に返った俺は、そっと智の身体を離した。
抵抗していた身体は、いつの間にか弛緩し、顔を横に背けた彼の目からは、止めどなく涙が溢れ出していた。
その苦しそうに歪められた顔に、胸が詰まった。
そんな悲しそうな顔…今まで見たことなかったから…
「……ごめん…俺」
声を殺して泣く智の肌には、俺が付けたおびただしい数の赤い痕が生々しく散らばっていた。
涙でぐしゃぐしゃの顔に、俺は自分のしようとしていたことの重大さを知った。