第3章 洒涙雨
【潤】
あ~あ…可愛い顔して寝てやがる…
さっきまで、上になりたい宣言をして、
俺の上で、闇雲に腰を振っていったとは思えない無垢な寝顔…
1時間前のこの人と、同じとは思えないよな、全く。
俺は、眠る彼の頬に唇を押し当てた。
「…んん~…」
くすぐったそうに眉を顰めたけど、また直ぐに、くーくーと可愛い寝息を立て始めた。
俺と大野さんは、こういう関係になってもう2年が経つ。
俺が好きで…ずっと昔から大好きで。
やっと落としたんだ。
ニノと相葉くんが付き合いだしたって知って、
男同士でも大丈夫なんだ!そう思って、猛アタックを掛けた…あ、言い方が古いか…
始めはのらりくらりと逃げられていたけど、やっと『じゃあ、お試し、つ~ことで』ってOKが出たんだ。
嬉しくて…
初めて大野さんを抱いた時は、天にも昇る気持ちだった///
幸せで、こんなに幸せでいいのかって思うくらいで。
不覚にも感情が高まっちゃって泣き出した俺を、大野さんはぎゅーっと抱きしめてくれた。
俺よりひとまわり小さい身体で…包み込むように…
それからは、時間を見つけては俺から誘って、こうやって関係を重ねて来たんだ。
夢にまで見た彼との時間は、それだけで幸せで…
満たされていた。
だけど……
大野さんは俺たちの関係を、絶対に周囲には知られたくないって、そう言うんだ。
始めは照れているのかと思った。
だから、付き合う条件が、『絶対にばれない事』だったけど、俺は勿論飲んだんだ。
彼と付き合えるんなら、どんな条件でも気にしない…
そう思った…
……思っていた。
だけど、楽屋で仲良くいちゃつくにのあいを見ていると、俺だって///っていう気になる。
こんなに隠す必要が、どこにあるんだよ?って…
世間的にはともかく、メンバーくらいにはバレても…つ~か、寧ろ、知っていて欲しい。
だけど、大野さんは頑なだった。