第2章 朧雲
不意に脳裏に浮かんだニノの顔…
そうだよな…雅紀は、ニノの恋人だもん…
二人の中にそういう事がなければ、経験ないし、知らなくて当然だよな…
…………
俺の中に、ムクムクと沸き起こる黒い感情……
ニノの笑顔と、雅紀を見つめる優しい眼差し…
大切なものを、慈しむような、そんな目…
雅紀のこと……
ニノ…
お前の大事な恋人が、
他の男とこんなことしてること知ったら…お前、どうする?
「…あっ、ねえ、翔ちゃん…もっと、もっと頂戴…」
「雅紀…気持ちイイよ…こんなの、初めてだ…」
「ホントに?…嬉しい…あぁん…イキそう…」
顔をシーツに埋めて、恍惚とした表情を浮かべる雅紀の手を引いて身体を起こし、後ろから背中を抱き寄せる。
「やあっ///翔ちゃん…ソコ…もっとシテ…」
痩せた背中…浮き出た肩甲骨の上に、キスをした。
少しずつずらしながら唇を這わせると、雅紀は切ない吐息を漏らした。
最後に強めに吸うと、そこにははっきりと分かる赤い花が咲いた。
……雅紀は、それには気付かない…
俺は彼の細い身体をしっかりと抱え直し、激しく腰を送った。
雅紀は、その律動に合わせて、自分で自身を扱いている。
「雅紀…イクよ…いい?」
「きて…翔ちゃん…俺も、出そう…」
「あ…イクイク…雅紀…あっっ…///」
「しょうちゃん…出ちゃうよ~…んんっっ…」
ねえ…雅紀…
俺達さ、相性ピッタリじゃん…
上手くやっていけるよ…ニノよりも、きっと…
だってこんなにも、一緒だし…
抱き合ったままベッドの海に沈む…
上がった息を整えようと上下に動く肩…
その下に、はっきり残った、俺の証…
ニノは…気付くかな?
気付いたら……どうする??
「…翔ちゃん…」
腕を差し出した彼の身体を、包み込むように抱き締めた。
俺が残した小さな罠を、知る由もない雅紀は、俺の腕の中で、幸せそうに眼を閉じた。