第12章 彩雲
【智】
「あっ…」
ぞくぞく~って、背筋が震えた。
翔くんの熱い指先が内腿をなぞるたび、くすぐったさの中にほんの少し、気持ちいいのが混じる。
「あぁっ…やっ…イジワル、しないでっ…」
「イジワルなんかしてないよ。だって智くん、感じてるでしょ~?」
キスしてって言ってんのに、結局してくんないし。
早く俺のイチモツ触って欲しいのに、触ってくんないし。
俺が悶えてんの見て、笑ってるしっ!
これがイジワルじゃなくて、なにがイジワルなのさっ!
「はっ…ぁっ…翔、くんっ…早くっ…」
本当はもっと怒った声出したいのに、焦らされてすっかり熱くなった俺の口からは、その熱を含んだ吐息しか出ない。
くっそ~っ!
この手錠さえなければ、形勢逆転してやるのに~っ!
後で絶対仕返ししてやるっ!
「翔くんっ…お願いっ…」
心の中で硬く誓いながら、ちょっとだけ甘えた声を出すと。
「ん~、どうしよっかな~?」
満足げに笑いながら、それでもまだ内腿をナデナデしてる。
「ねぇっ…なんでも、するからっ…!」
我慢できなくて、うっかりそんなことを口走ると。
翔くんの目がキランと光った。
…え…?
「…なんでも、する…?」
「え…いや…」
にやーっと、いやらしい笑い方。
「その言葉、ちゃんと聞いたからね?」
「えっ、えっ…いや、それは、その…」
「じゃあ、ご要望にお応えして…」
それまで、俺の股の間にいた翔くんが、起き上がって。
ガバッと覆い被さってくると、ちょっと乱暴に俺の顎を掴んで。
ぶつけるようにして、唇を重ねてきた。
「んんっ…」