第12章 彩雲
【翔】
あ~…
その顔、堪んね~♡
少し怯えてるのに、目には期待の色が浮かぶ…
嫌いじゃないもんね?兄さん♪
「はい、手、出して」
「………」
躊躇うように俺の顔と白い手錠を見比べていた智くんは、おずおずと両手を軽く握ったまま俺の前に差し出した
これって、何されてもいいって…
そうゆうこと、だよね?
「着けちゃうと脱げないから、先に上、脱いどいてよ」
「……うん…」
少し頬を染め、智くんはTシャツを脱ぎ捨てて引き締まった上半身を俺の目の前に晒した
あなた、そんなの脱ぐの平気でしょ?
それなのに、恥ずかしがるその風情…
俺を煽ってるの分かってるのかな?
分かってんな…その顔は…
……
素直に俺に従う彼…
細い手首を掴むと、その両方に白い呪縛を施し、その身体をベッドに押し倒した
「…しょお、くん…」
瞳の中に、隠しきれない欲情の焔が揺れる
「腕、上に上げて」
「…こう?」
「そう…いい子…」
俺は、クローゼットから手錠と一緒に出して来た赤いタイで、白い手錠をベッドヘッドに結んだ
………ぞくぞくするよ…白と赤…
そして怯えながらも期待する愛しい人の身体…
「智くん…綺麗だよ」
そう言いながら、ゆっくりと顔を近付け、脇の下に鼻先を埋めた
「やめてっ…恥ずかしい…そんなこと…」
身体を捩るけど、不自由な両腕では、逃げられない
まあ、もっとも。
逃げる気なんかないでしょうけど~
ワザと智くんに聞こえる様に、大きく息を吸い込んで見せると、ボディーソープに混じって、智くんの匂いがした
何とも言えない、甘い…ミルクみたいな…
不思議と落ち着く懐かしい匂い…
「ぁ…」
鼻にかかった甘い声が漏れた