第11章 朝暉
ベッドに潜り込んで、丸まって眠る愛しい人の身体を抱き締めた。
「くうぅ~…あったけぇ~」
小さく呟くと、その塊はもぞもぞと動いて、ますます丸くなった
「ネコかよ…」
もう何て言うか、可愛くて可愛くて…
カメのように引っ込んだ首筋に冷えた鼻先を押し付けた
「…う~ん…んっ…もう~、翔くん…なに~?」
流石に目を開けた智くんは、ダンゴムシ張りに丸まっていた身体を伸ばし、俺の胸に顔を押し付けてきた
「…温っめてよ♡」
背中を引き寄せ、密着した
「煙草…吸って来たの?」
「あ、うん…分かる?」
「…うん…匂いがするもん…」
「ごめん…」
「うんん…側に行かなきゃ分からない翔くんの匂いだもん…大好き…」
確かにね…
仕事中は吸わないからな…
伸びたネコが顔を上げて、俺の首に唇を押し付けてきた
「あ、ちょっ…くすぐったいよ~」
「んふふふ…これ…」
「えっ?」
智くんの指が触れた場所…
鎖骨の少し下…そこには、真新しい赤い痕が…
「あ~、付けたの~?いつの間に~?」
「全然気付いてないな~、って思ったもん…」
全く……いい年して、可愛い事しやがるぜ…
「どうすんだよ~?見つかっちゃうだろ~?」
すると智くんは、その痕を舌先でペロリと舐めてから、
「もう、あんましあちこちで、直ぐに肌見せないで~」
と…頬を膨らませて見せた
……何だよ、それ…
俺にどうしろっていうのよ、マジで…
愛しくて…
可愛くて…
どうしようもなく大好きな気持ちが溢れ出してきて…
確信犯だと分かりながらも、
俺は、上目遣いで俺を見つめる潤んだ瞳に、
吸い寄せられるように口づけた
微かに震える目蓋の上で、
ちゅっ…っと小さな音を立てると、
智くんはくすぐったそうに肩を竦めた
こういうの…世間一般ではきっと
『しあわせ』と
そう呼ぶんだろうな…
夜明けまでまだ時間がある…
もう少し、この愛しい塊を抱き締めて眠ろうか