第11章 朝暉
持ってたドライヤーを取り上げられ、手を引かれてベッドへと戻ると、ゆっくりと押し倒された。
見上げた翔くんの瞳は、夜空に浮かぶ星みたいにキラキラ光ってて。
どきん、と心臓が大きく跳ねる。
翔くんの顔なんて
目を瞑ってもどこにホクロがあるかわかるくらい
見慣れてるはずなのに
なんでこんなにドキドキするんだろ…
「…智くん…」
その瞳に吸い込まれちゃいたいなぁ、なんて思ってると。
ちょっとずつ近付いてきて。
ほんの数センチ上で、止まった。
翔くんのキラキラの瞳が、俺の顔でいっぱいになる。
「…ちょっと」
「ん?」
「なんで、目ぇ閉じないのよ?」
翔くんが不満げに唇を尖らせた。
「キス、したいんだけど?」
「ん~?んふふ…」
「なに?」
「だって、もったいないんだもん」
「…なにが?」
「目、閉じちゃうと翔くんが見えなくなっちゃうじゃん」
俺
どんな翔くんだって見ていたい
キスするときの顔とか
気持ちいい顔とか
なんだったらイクときの顔だって
全部頭ん中に焼き付けておきたいんだもん!
「…あなた…どんだけ俺のこと好きなのよ…」
「宇宙一好きだって言ったよ?」
「…うん。聞いた」
「翔くんも、もう一回言って?」
「え~、もういいよ。何回も言うと有り難みがないじゃん」
「有り難み?なにそれ?美味しいの?」
「…智くん…」
「ふふっ、うそうそ。有り難みって言葉くらい、知ってるよ~」
でもさ
もう一回聞きたいんだもん
ううん
何度だって聞きたい!
そんな期待を込めて、ジッと見つめると。
仕方なさそうに息を吐き出して。
「…俺も、智くんのことが宇宙一好きだよ」
言いながら、翔くんの瞳が降ってきて。
熱い唇が重なったとき。
俺の目蓋は勝手に落ちていた。