第1章 風花
【翔】
「お疲れ様でしたぁ~」
いつもの反省会が終わったのは、深夜の1時を回っていた。
携帯を確認すると、LINEがたくさん入っていた。
「増田…」
立て続けに何個も入っていたのは増田から。
思わず頬が緩む…
『よければ、反省会終わったら合流してください』
『もう終わりましたか?』
『これそうですか?』
『もうみんなに翔くんが来るって言っちゃいましたけど』
『絶対来てください!』
『来なかったら翔くんちに行きますよ!』
…全くあいつ…
腕時計を確認して、返信をした。
『少しだけ顔出すよ』
そして、開かないままのメッセが3件…
しばらく眺めてから、開けた。
『今日は会えそう?』
『おいしいワイン貰ったよ』
『待ってるね』
……はあぁ~…
俺はため息をついて、そのメッセに返信した。
『今日は行けない』
そう一言だけ。
彼女とはドラマで共演したのをきっかけに付き合うようになった。
聡明な彼女は俺とのことを誰かに話す様なこともしないし、仕事優先の俺を良く理解してくれて、文句も言わずに待っていてくれた。
彼女もドラマの仕事が途切れることなくあり、お互いに忙しくて、なかなか時間が取れないことが多かった。
本当は外にも連れだしてやりたかったけど、女性関係が外に漏れることは絶対にダメ…
そんな嵐の事情も、彼女はよく分かっているから、今まではその話題に触れて来なかったのに…
このところ、少し変わってきた。