第6章 霧海
【和也】
一瞬…遠退きそうになる意識を手繰り寄せる。
……でちゃった…
雅紀の手の中に…呆気なさすぎ…
恥ずかしい…
恥ずかしいけど……もっと欲しい…
その先の、脳髄まで痺れさすような、
甘い…甘い……
「…まさき…俺…」
恥ずかしいけど、その先を強請ろうとする俺の口を、
雅紀の唇が遮った。
啄むように俺の唇を何度も軽く食んでから、
「いいよ、分かってるから…
ニノ…お前が欲しい…」
…優しくて、真剣な眼差し…
俺の大好きな…
世界で一番大好きな瞳…
涙が……零れた。
「…うん…俺も…」
俺の言葉に、にっこり太陽みたいに笑った雅紀、
「ちょっと待ってて…」
そう言って俺から離れようとするその手首を、
慌てて掴んで繋いだ。
「いい…」
「でも…」
ゴムを取りに行こうとする雅紀を止めた。
「そのままの…雅紀がいい…」
「だけど、お腹…」
「いいんだ…中に…雅紀の…中に欲しいから…」
そう…
そのままの雅紀を感じたいんだ。
いつも、自分だけ先走って
許可なく中出しされたときは、
『ふざけんなよ、マジで』なんて怒って見せたけど…
ホントは嬉しかったんだ。
でも、素直にそんなこと言える訳なくて…
でもね。
今夜は…
今夜だけは伝えたい。
素直な、ありのままの自分のい持ち。
等身大の、ホントの俺…
「雅紀、来て」
俺の言葉に、小さく頷いた雅紀は、
もう一度俺の肩を抱き寄せてベッドに沈めた。
頭の瘤がちょっと痛かったけど、
それよりも、俺は……
見つめ合う目と目…
言葉なんかいらない…
愛してるから…
雅紀…あなただけを…
俺の膝を割って、雅紀が入って来る。
俺は、脚を広げて、ソコを晒した。
さっきゆっくりと雅紀が解してくれた…
「いくよ…」
男らしくそう言う雅紀に、心が震えた。