第13章 粘着系男子の15年ネチネチ(カラー)
8年目。
ぼくはかわらなかった。
今日も君を何に例えようか。
無理にかっこつけている時もいいけれど、たまに素が出るところがたまらなく愛しかった。
すごく可愛かったね。
それを君に言うと耳まで真っ赤にして「忘れてくれ」って言うのが本当に好きだった。
9年目。
ぼくは事故にあった。
事務所からの帰りに撥ねられて頭を強く打ったらしい。
そのあとぼくに告げられたのは『記憶喪失』だった。
自分の名前も何もかも忘れてしまっていたが、君のことが好きなことだけは覚えていた。
10年目も11年目も記憶が戻ってくることは無かった。
それでも、君がずっと好きだった。
ただただ返事を待ち続けた。
12年目も13年目も、記憶はないままだった。
まだ、君のことが好きだった。
それしか持っていなかった。
14年目も記憶は戻ってこなかった。
何も覚えていないぼくにとっては毎日が怖くて不安で、君の姿を一目見たかった。
君に一言言いたかった。
"好き"だって。
15年目に記憶が戻った。
今までのこと、君のこと、全て思い出して膝から崩れ落ちて泣き出した。
思い出してしまった。
15年前君が……死んでしまったことを。
君へと会いを綴ったポエムを重ねていけばいつか、君のいるあの、晴れ渡った空に届くだろうか。
そんな夢を抱きながら君の部屋に毎日手紙を放り込み続けた。
君がぼくの前からいなくなったって、見えなくなったって、愛し続けるよ。
でも、心のどこかでまた会えるって思ってた。
だけど、君はまた、いなくなった。
君への愛を綴ったポエムを送り続けて16年。
返事はまだ来ない。
返事は……まだ、来ない……。