第13章 粘着系男子の15年ネチネチ(カラー)
空に浮かぶ灰色の機体。
ぼくはあの日からこの風景を見る度に涙を流す。
そして、頭のどこかでぼくの名前を呼ぶあの男を思い浮かべるんだ。
最近のぼくの趣味はポエムを書くこと。
ただ、ポエムを書いているだけではない。
ある人に向けた手紙だ。
そのある人、とはぼくの大切な人。愛する人。
これはぼくのポエマーとしての人生を描いたものだ。
1年目。
仕事の合間に時間が開けば机と向かい合う。
子供の時には絶対になかったこんな習慣。
今ではすっかり当たり前。
毎回の空き時間にぼくはラブレターを綴っている。
ひたすらがむしゃらに、思いつく言葉を並べていく。
君への溢れる愛を伝えるために。
一枚の便箋に愛を込めるんだ。
2年目。
1年経ってもぼくのがむしゃらな書き方は変わらなかった。
変わった点と言えば……集中力。
この前なんか、家が燃えてても気付かなくて、気づいたらフードしか残ってなかった。
あの時はめちゃくちゃ母さんに怒られたな……。
兄さんには馬鹿馬鹿言われるし……。
3年目。
少しずつこなれてきた。
文学の域に達したのではないかと思えるほどに。
自画自賛ってやつだ。
ピク○ブに投稿した。
そしたら想像以上の好評。
9割くらい目的を失いかけた。
4年目。
雑誌に投稿してみた。
そしたら新聞に取り上げられて、ニュースにもなった。
社会問題だ。
『天才少年降臨!!』
そんな見出しが並ぶようになった。
それからしばらくして、ポエム集の出版が決まった。
ますますポエムに集中するようになった。
書き始めてから4年たった今でも返事が来たことは無い。
でも、書き続けるよ。
君の返事が来るまで。
5年目。
おれはついにポエマーとして活動し始めた。
もちろん整備士も辞めていない。
だってこの職はアイツと出会わせてくれた大切なものだから。
若い人に人気が出たが、ぼくは君にしか興味が無いよ。
6年目。
おれは体を壊した。
もともとぼくは体が弱い方だった。
そんなぼくをいつも看病してくれたのは……――だったね。
いつの間にか書いたラブレターの数は余裕で二千を超えていた。
7年目。
回復した。
元気いっぱいア○パ○マ○!!
今日は君を何に例えようか。
君はいつでも優しくて……かっこよくて。
世に言う『スパダリ』ってやつだったね。
そんな君が、大好きだよ。
