第8章 十六夜月
俺が桜花と出会った時の第一印象は余り良いものではなかった....
あれは信長様について京へ出向いていた時のこと
先に信長様は本能寺へと出向き俺は後を追いかけていた
「秀吉様!大変でございます!?」
そこへ伝令の兵が血相を変え走り込んできた
伝令によると
"本能寺が燃えている、信長様はまだ中にいる"と
「三成!急ぎ本能寺へと向かえ!?」
「はっ!?」
三成を見送り直ぐに兵を纏め俺も後を追った
駆けつけると煤まみれの信長様と
奇妙な格好をした女がいた
その女と言うのが桜花だった
「信長様ご無事でなによりです」
「なんで光秀お前が!」
その時ここに居るはずのない光秀が姿を表した
こんな偶然があるわけがないと俺は光秀を問い詰めた
何時ものごとく黒い笑みを浮かべ答える姿に腹をたてた
「あの~その人じゃないですよ?」
桜花が言うには
"煙がひどく顔は見えなかったが着物の形が違う"らしい
それでも俺の光秀への疑いが全てはれた訳じゃない
しかし、しつこく問いただしていた俺は
信長様の叱責で口を閉じた
「貴様は幸運を呼ぶ女だ安土に連れ帰る」
「へっ?安土?」
「信長様!えたいの知れない者を連れ帰るなど!?」
「天下人の女にならないか」
俺の言葉は無視をされ桜花を抱き寄せ笑っていた
その時の桜花は怪しい者としか認識出来なかった
だからこそ俺は反対をした
「無理無理無理!遠慮します!!?」
「お前!信長様が仰ることにたてつくのか!」
「えぇ!さっき反対してたのになんで?!」
信長様に対して口の聞き方も知らない桜花に
苛立ち放った言葉は矛盾していた
だがそんなことは百も承知
その後、信長様の元から逃げ出した桜花を捕獲し安土城に連れ帰った俺は
信長様から桜花の事を任される事になったのだった