第1章 新月
『許嫁かあ...どんな人なんだろう?』
葉月は籠に揺られて安土城に向かっている
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嵐に遭い落雷が落ちた後目が覚めれば見知らぬ土地に居た
呆然と座り込んでいる所に通りかかったのは
"西郷氏"と名乗る女性
西郷氏は夫の戸塚忠春の屋敷に私を連れ帰った
行くあてが無いと言う私を2人は屋敷においてくれた
恩返しのつもりで屋敷の手伝いを申し出るも
我が子と同じように姫としての教育を施してくれた
戸塚の屋敷で過ごし半年がたった頃
どこに出しても恥ずかしくない姫になった葉月
戸塚の計らいで西郷氏の弟"西郷清員"の養女になった
そしてさらに半年後葉月がここに来て1年がたったある日
義理の父である西郷清員から許嫁の存在を知らされた
『許嫁とはどういうことですかお義父様』
「お前が兄上の屋敷に来てひと月ほどたった頃だったか
兄上たちから"葉月の嫁ぎ先を捜して欲しい"と言われてな
姫としての教育を受けたのは武家に嫁ぐためだ
姉上はなお前に新しい家族を作ってやりたいのだ」
『家族...』
「そう家族だ
良い武人を選んだつもりだが
もし嫌になればここに帰って来い
葉月ここはお前の故郷だからの」
『ありがとうございます。
では何かあればここに帰って参りますね』
「葉月我が娘よ。幸せになれ」
『はい!お義父様』