第9章 立待月
「ふあぁ~眠い....」
ここは戦国時代だ
ここでの朝はとにかく早い
朝陽が昇るとみんな起床し始める
ここに飛ばされてきたばかりの頃は
よく叩き起こされていたが
ようやくリズムが取れてきた
「起きているか大翔」
「あ~おはようございます謙信様」
襖を開き声をかけてきたのは
ここ春日山城城主の上杉謙信
色々あって俺は謙信様の城で
お世話になることになった
「さっさと準備をしろ」
「りょ~か~い」
「.....間延びした返事をするな」
ごそごそと動き褥を片付ける
夜着から普段着に着替えを済ませ
廊下に出て行った
「お待たせしました~」
「.....行くぞ」
起きてまず始めるのは鍛錬
俺はこの鍛錬に参加して幸村が"助かった"と
言っていた理由がやっとわかった
謙信様の鍛錬に付き合うのは骨が折れる
と言うか本当に折られそうだ
下手をすれば斬り落とされそうだしな
「だぁーテメエ大翔!
サボってねえで参加しろや!!」
謙信は涼しい顔で木刀を振るう
とてもじゃないがまともに相手をすれば
永遠と続くんじゃないのかと思う
なので六割程度で挑み早々に幸村に引き継いでいる
「え~
俺は幸村みたいな体力馬鹿じゃないし
佐助にみたいな素早い忍者じゃないし
だから無理~がんばれ~幸村~」
「ふざけんな!」
「よそ見とは随分と余裕だな幸村」
鍛錬中にこちらに視線をよこして喚いていた幸村に
謙信がイラついたのか連続で打ち込んでいった
今日もボロボロになった幸村は床に倒れこんだ
「興が覚めた終わりだ」
息切れすることもなくスタスタと去っていく謙信
俺と佐助は幸村に近づき声をかけた
「「ドンマイ幸村」」