第3章 3
物心がついた時から、母様が本当の母様ではないことに気付いていた。
南流魂街78地区戌吊
そこで私を育ててくれたのは、他でもない、殿だった。
本当の母のように思った。
「母様、花を摘んでまいりました!」
「ありがとう、ルキア。」
美しく、聡明な母。
自慢だった。
「ルキア、よく聞いてくださいね。」
だから、母が護廷十三隊に複隊すると聞いた時、とても嬉しかった。
「私は大丈夫です、母様、心配しないでください。恋次も、他の友人達もいます。」
そう告げると、母は不安と安心の入り混じった顔で笑った。
月に一度、精霊廷から帰る母が帰ってくるのが待ち遠しかった。
「ただいまルキア。」
「母様!」
「!」
「恋次くんもいたんですね……これ、お土産です。」
風呂敷に包んでいたお土産の白玉餡蜜を開けて渡すと、ルキアは頬を綻ばせた。
「白玉!」
「ほら、恋次くんも」
持ちやすいように風呂敷に4つ包みなおし、差し出す母様を見て曖昧に笑う。
すると母様は、眉尻を下げて口を開いた。
「……そうですか、連れて行ってください。」