第7章 ヨコハマギャングスタアパラダヰス
――武装探偵社。
横浜に居を構える、異能者集団。
依頼によって動き、警察にも手に負えない危険な依頼をこなす。
構成員のほとんどが異能者と呼ばれる特異な能力を持つ者であり、市民のみならず政府機関からの信用も厚い。
そんな集団とは、全く無関係だと思っていた――筈であったのに・・・
孤児院を追い出され餓死寸前であった中島敦は、川で入水自殺をしていた”太宰治”と、共にいたみょうじなまえに助けられた。
そして、自分が虎化する異能力者であることを太宰らによって暴かれ、そんなこんなで敦は武装探偵社に入社する事になったのだが・・・。
武装探偵社が入っているビルの一階に居を構える”うずまき”という探偵社員御用達の喫茶店では。
「すンませんでしたッ!」
そういって、敦に向かって勢い良く頭を下げる谷崎潤一郎の声が響いていた。
「…へ?」
「その、試験とは云え随分と失礼な事を…!」
言いながら谷崎は、ゆっくりと顔をあげる。
「ああ、いえいいんですよ(意外と良い人だこの人…)」
「何を謝ることがある。あれも仕事だ谷崎。」
目を瞑りながら云う国木田のその横から太宰は云った。
「国木田君も気障に決まってたしねぇ~”独歩吟客”!」
「ばっ…違う!あれは事前の手筈通りにやっただけだ!」
『それでも、かっこ良かったよ国ちゃん。』
「なっ!!ななな何を言っている!!」
「…えー…かっこ良かったなんて私も言われたことないのに!ずるい!ずるすぎるよ!国木ー田君!」
「うるさいぞ!太宰!…ともかくだ、小僧。貴様も今日から探偵社が一隅、ゆえに周りに迷惑を振りまき社の看板を汚す真似はするな。俺も他の皆もそのことを徹底している…なぁ太宰」
「か弱く華奢なこの指で……私の頸を絞めてくれないか…さあ一緒に心中しよう、なまえちゃ、ブホッッ」
「黙れ迷惑噴霧器!!言ってるそばから社の看板を汚すなァァ!!貴様という奴はいつもいつも!!尚なまえの手を借りるまでもないわ!俺のごつい指でお前の首を絞めてやろうかァ!!」
国木田は、なまえの手を取り心中を誘う太宰をぶん殴ってから、くどくどと説教をし始めた。
「ええと…改めて自己紹介すると…僕は谷崎、探偵社で助手のような事をやってます」
と、谷崎は敦に自己紹介を始める。