第6章 或る爆弾
――――「その通りだ」
隣の部屋から出てきたのは、武装探偵社の社長――・・・
――福沢諭吉
能力名 ”人上人不造”
「・・・・・・!?」
「社長!」
「しゃ、社長!?」
「そこの太宰めが「有能なる若者が居る」と云うゆえ、その魂の真贋試させて貰った」
「君を推薦したのだけど如何せん君は区の災害指定猛獣だ。保護すべきか社内でもめたのだよ…で、社長の一言でこうなったと」
『それで社長、どのようなご判断を?』
「…太宰に一任する」
社長の言葉に、太宰はにやりと笑う。
「合格だってさ」
「つ、つまり僕に斡旋する仕事って言うのは…此処の…?」
敦がそう訊けば太宰はなまえの腕を引き抱き寄せると、再び口を開いた。
「武装探偵社へようこそ。」
太宰に抱き寄せられたなまえも『よろしくね』と笑顔で続く。
「うふ、よろしくお願いしますわ」
「い、痛い!そこ痛いってばナオミごめんごめんって!」
「ぼ、僕を試すためだけに…こんな大掛かりな仕掛けを?」
「この位で驚いてちゃ身がもたないよ?」
と、なまえを抱き寄せながら云う太宰。
「いやいや!こんな無茶で物騒な職場僕、無理です!」
「おや、君が無理に云うなら強制はできないね。となると君が住んでる社員寮引き払わないと、あと、寮の食費と電話の払いもあるけど大丈夫?」
それを聞いた敦はぽろぽろと涙を流し・・・
「(選択肢無いじゃないですかぁぁぁぁぁぁぁ)」
敦の心の声も虚しく・・・この瞬間から、敦の武装探偵社への入社が決まったのであった。