第4章 『北の海』
「中也、着いたよ」
「あー、寝たら結構抜けた」
「其れは良かった」
中也のマンションに到着し、彼を起こすとすんなりと起きる。
大きく伸びをしながら車を降り、自動扉の前まで歩いて行く。
「そう言えば手前どうやって帰るんだ?」
「タクシーでも拾って帰るよ。また襲われたら敵わないからね」
「襲わねぇよ」
「どうだか」
ふふ、と笑いながら泰子が揶揄う。
中也は反論するが、丁度タクシーが通った為、泰子はタクシーを停めると乗り込んで窓を開けた。
「じゃあまた明日」
「おー。気を付けて帰れよ」
束の間の休日を満喫し帰路についた泰子は、シャワーだけ浴びるとすぐにベッドに横になった。
1日歩いた疲れがじんわりと体を侵食していき、眠気の波がやってくる。
その波に逆らう事をせずに目を閉じると、直ぐに深い眠りに落ちていった。