第2章 *路地裏*
§ 少女side §
多分、もう駄目なんだろう。
此処で死ぬのだろうか。
別にやり残したことがあったわけじゃない。
対して仲が良い友達がいたわけじゃない。
最後に親孝行がしたかったわけでもない。
でも、人生の最後が路地裏なんて誰だって嫌でしょう?
しかも"自分のせい"で死ぬなんて惨めよね。
内心すごく焦ってる。
人は生きてる意味が無くても、人生に絶望してたとしても死が訪れるときは焦るものだと思う。自殺じゃない限りは本能的に生きたいと思うものだと思う。
私もその状態。
この死の間際でやり残したことなんて思い出せる訳がない。
でも、ただただ死ぬのが怖くてさっきからずっと「助けて」と掠れた声でなんとか声を絞り出している。
誰かの足音。私の声が聞こえたのかな。
「…っ!…じょ…ぶか……」
誰かが呼んでる。
自分から助けてなんて言っておいてすごく失礼だけど、初対面の人におそらく私は助けられない。
死が近づく。
「やだ……死にたくない……」
助けられないのに…それなのに何でだろう……。
この人の傍はすごく安心する。
抱き締められた体が、握られた手が、私の心を落ち着けてくれる。
薄れゆく意識の中、あの人の声が聞こえた気がした。
—————————ユイ、頑張りなさい。貴方の目の前にいるその人はきっと貴方の人生を変えてくれるわ。だから死なないで。
生きて、ユイ
さあ、目を開けて——————————