第7章 *嫉妬=熱*
§ 轟side §
「ここだ」
「おっ…大きいね…」
「お前の家もデカいだろ」
いつも通りの会話だけどいつもよりぎこちない。
それは多分ユイがずっと顔を赤くしているから。
「ユイ」
玄関先で入るのを少しためらっているユイに手を差し出すと、ゆっくりと俺よりも一回り小さい手が重ねられる。
そのまま俺の部屋へと直行した。
「あ…の、轟くん」
「なんだ」
「これは一体……」
部屋に入ってすぐ、俺がユイを壁に追い込む形になっている。その状況にユイは顔を俯かせて少し震えた声で言うのだ。
「何か…怒ってる…?」
「何に怒ってるか分かるか?」
「分からないよ…」
「じゃあ教えてやる。お前は警戒心がなさすぎる。今だって早く逃げねぇと俺に何されるかわかんねぇぞ?」
「大丈夫だよ…」
(大丈夫じゃ…ねぇだろ。男が自分の家に女連れてきてやましい気持ちか無いわけねぇ…)
「そういう所だ。どうして俺に絶対的信頼を置いてるのかは知らねぇが…俺だって男だ、分かるだろ」
ユイの足の間に太ももを割り込ませて顔を近づける。
俯いたままの顔を上に向けると、林檎のように可愛らしい色に染まった愛しい顔と目が合った。
「そういう意味じゃなくて…っ…」
「じゃあどういう意味だ?」
「〜〜〜!だから!信頼とかじゃなくて!轟くんなら何されても多分嬉しいって思う…から…」
だんだん小さくなって消え入りそうになる声。
だけど俺の耳には確かに聞こえたんだ。都合のいいように少し言い方を変えると「俺になら何されてもいい」って言った。
「悪いが俺も待てない、逃げるなら今だ。多分俺は手加減できない。最後までやる。それでもいいか?」
滅茶苦茶に、俺のモノにしてやりたいが傷付けたい訳ではない。
ここは一応聞いておくべきだろうと思ってそう言った。
でも先程のユイの一言で俺の心には期待だけが膨らんでいく。拒絶されることは無い。そう思っててあえて聞いた。
「ん、いいよ…」
案の定ユイは俺を抱きしめて胸に顔をうずめながら期待通りの答えを口にした。