第6章 *雄英*
今轟くんの元へ行っても邪魔になるだけだし授業はちゃんと集中して受けたい。
(特に予定もないしまあいっか…命令形で言って来るってことは何か大事な用時でもあるのかな?)
小さな疑問が残ったまま最終組のスタートを待つ。
「ではでは!最終組も張り切っていくぞ!START!」
先陣をきったのは轟くんだった。
確かに私と同じように氷の上を滑って移動している。
(でも梅雨ちゃんも凄い。こんなに軽々と建物に飛び移ってる。本当に蛙っぽいこと全部できそう…)
峰田くんは頭についた紫色の何かをちぎって、それを進みにくいパイプなどにくっつけて進んでいる。
(さっき緑谷くんが足を滑らせてたけどあれがあれば足場の悪い所も問題なくいける。レースだから少し不利だけど実際の救助では役に立ちそう)
口甲くんと透ちゃんは今個性と相性が合わないのか、個性を使わずに進んでいる。
いや、透ちゃんは個性が透明化だから個性発動中ではある。
(これは…どっちだろう……)
ほぼ横並び状態の梅雨ちゃんと轟くん。
先にゴールしたのは………
「おめでとう轟少年!はいこれタスキ」
ほんの一瞬の差だった。轟くんが先にオールマイトの元へ到着し、梅雨ちゃんは2番目。
「これは授業だから早かったほうがいいわけではない。このレースで個性を上手く使えなくても必ずどこかで役に立てる!機動力や体力が足りなかったと感じた人は自主練もしておくといいぞ!」
そう言うと。オールマイトが私の方へと向かって来る。
「君は危機的状況でも冷静に物事を考えることが出来る。個性が暴走してしまうことを含めても優秀だと思う」
「ありがとうございます」
「例えば保須市で襲われた時もトンネルの外までヴィランをおびき寄せて攻撃したことで被害は最小限で済んでいる」
「あの時は氷を出して誰かに気付いてもらう事しか考えていなくて…トンネルの中で氷を出してしまうとトンネルが崩壊して道が塞がれてしまうと思ったので」
「あの状況でそこまで考えれるのは凄い!だけど君は個性が暴走した後の事を考えていない。もう駄目だと思ってしまっている。自分を大切にするのも大事だぞ!」
「はい…」
その後、それぞれオールマイトからのアドバイスを受けて授業は終わった。