第3章 *絶対零度*
ユウちゃんと呼ばれた子はいつも人読さんと一緒にいる子。秋野夕(あきの ゆう)さん。
この子は無個性だ。
四月、新しいクラスでは必ず自己紹介が3回くらいある。
自分の名前、好きな食べ物とかを言って最後には個性を言うのが当然の流れ。
その中で秋野さんはきっぱりと「私は無個性です!だからみんなと個性の話とかはあんまり出来ないけど…よろしくお願いします!」って言ってて、凄く堂々としてたから印象に残ってて、私のちょっとした憧れになった。
「実は私も月城さんと話してみたいと思ってたの!」
こんな私に興味を示してくれたことが本当に嬉しい。
私ももっと話がしたい、そう言おうとした時、授業の始まりを告げる鐘が鳴った。
心「あ、もう授業始まっちゃう…」
ユウ「そうだ!次で午前中の授業も終わりだしお昼ご飯一緒に食べようよ!」
「いいの…?」
ユウ「勿論!月城さんが良ければだけど!」
「ありがとう…」
こうして私は人生で初めて"友達"とお昼ご飯を食べることになった。
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「じゃあ改めて!私は秋野夕。無個性です!」
「私は人読心。個性は【マインド】で3秒以上触れた人の心を読むことが出来るの。長く触れれば触れるほど深く心を読むことが出来る個性だよ」
お昼休み、昼食を取りながらの自己紹介が始まった。
私の個性のことは氷を出せる個性としか言わなかった。
その後も俗に言う世間話で盛り上がって……
ユウ「月城さん…ユイって呼んでもいい…?」
順調に会話も弾んできた頃、秋野さんが少し遠慮気味に聞いてきた。
「うん…!」
心「じゃあ私たちの事も名前で呼んでくれると嬉しいな!」
「………わかった。心ちゃん、ユウちゃん」
名前で呼び合える友達が出来ただけでも個人的にはもの凄く嬉しかったのに、なんと明日の放課後一緒にクレープを食べに行く約束までしてしまった。
そして放課後になり——————————