第3章 *絶対零度*
∬Next Day∬
「あの…月城さん、この問題分かる…?」
名前を呼ばれて顔を上げるとそこには同じクラスの女の子。人読心(ひとよみ こころ)さんだった…と思う。
どうやら数学の問題で分からなかった問題があるらしい。
(そういえば明日数学の小テストだったっけ)
いつもなら無言でしどろもどろになっちゃって結局「やっぱり大丈夫、なんかごめんね」って言われて終わるんだけど………
「うん…どこの問題?」
今日はちょっと勇気を出して声を出してみた。
轟くんが私はヒーローになれるって言ってくれたから……
自分にできることから何か人の役に立ちたいって思ったから。
「えっとね…ここなんだけど公式を使っても解けなくて…」
「そこはそれじゃなくて違う公式を使うの」
「そうなんだ~だから解けなかったんだ…」
話すのは苦手だけど話す内容があればなんとか喋れる。
「そうだと思う。ほら、この公式に当てはめたら解けたよ」
「本当だ!ありがとう、月城さん」
「うん……あの、何で私に聞いたの?」
「え?」
「あっ…その…嫌とかじゃなくてちょっと気になって…」
聞くだけなら自分の友達に聞いて回れば解き方を知っている人が一人くらいいたと思うけどな……
何も無表情でクラスの空気みたいな私に聞かなくても…
「数学の時間に私が解けなかったさっきの問題を隣で解いてたからもしかしたら解けるのかなって思ったの」
「そうなんだ…」
そういえばこの子は隣の席の子だった。でも私と違って友達も沢山いるし彼氏もいるし青春を謳歌しているタイプ。
性格までいいと誰かが話していたのを聞いたことがある。
「それにね、私月城さんと一度話してみたかったの。」
初めて言われた言葉……
「頭も良いし個性も四月に聞いたとき凄く強そうだなって思ったし…お人形みたいな顔してて可愛いし!」
「何の話?」
「あっ、ユウちゃん!月城さんと話してみたかったって話!」