第14章 藍色の糸 拾四 完
「あ!ごめんなさい。 他の教室の案内をしたいけど職員会議の時間だわ。代わりに誰か…あ!不破くん!!」
丁度前に歩いていた男の子を先生は呼んだ。
「不破くん、私の代わりに 伏見さんに学校の教室の案内してくれるかな? 伏見さんは今日転校してきたのよ」
「わかりました。案内しますね」
「ありがとう!」と、先生は足早に二人の前からいなくなった。
私は緊張しすぎで相手の顔を見れずに下を向いていた。すると視界から手のひらが見えた。
驚き顔を上げる。
「僕は五年ろ組の不破です。よろしくね!」
男の子はふわふわした顔で優しく話しかけてくれた。
その顔に何故か急に嬉しさと懐かしさが湧いてきた。この感じは…
「いきなりで変かもしれないんだけど…」
彼は少し顔を赤くしている。
「君とは初めて逢った気がしないんだ」
その言葉に、おもわず涙が出そうになった。
「私も…!」
彼は嬉しそうにふわふわした顔で笑った。