第1章 藍色の糸 壱
桜の葉が青く濃く色づく五月の半ば。
ここ、『大川学園中等部』に京都から転校してきた。
ここの学園は小、中、高と繋がっている学園で、山に囲まれた学校だ。
「ここが貴方の教室になるわ」
先生が指をさす。
結 「二年は組…」
「かわってるでしょ? 昔からある学校で、最初は小、中同じだったけど、時代が変わって今にあたるらしいわ。普通一組とか言うけど、ここは、一から『い・ろ・は』っていうの。昔からそう言っているらしくてずっとこのままなのよ」
こういう昔からずっと変わらずある学校はここだけかもと、先生は笑いながら説明してくれた。
確かに、ここの学校は山に囲まれていて、何かタイムスリップしたみたいな気持ちになる。
でも、こんな学校でも密かに人気がある。地元の子は少なく、遠出の人が多く、学校の奥は時代劇に出てきそうな長屋がある。遠出の人はそこで生活している。
「結さんは何でここの学校にしたの?人気だから?」
結 「いえ… 信じられないと思うんですが、何か呼ばれてる気がして… て、変ですよね! すみません」
あはは、と笑った。先生も苦笑いくらいしてくれると思ったけど「そう」と言い、それっきり言葉を出さなかった。