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Dr.Heart Stealear [ONE PIECE]

第8章 出航


その夜、夢を見た。

何ヶ月、何年前の光景だろう。
いや、未来の光景かもしれない。
海には船…黄色い潜水艦が浮上していて甲板には白いつなぎ、オレンジ色のつなぎがまばらに立っている。1人だけ違う色の船長ロー、つなぎ姿のベポ、シャチ、ペンギン、ジャンバール、コックさん……そして私がいる。

いつものように笑い、語り、暴れ、怒られ、海軍から逃げる…そんな何気ない日常が巡っている。
それが、一気に崩れた。
ある人の手によって。

甲板には白いつなぎ真っ赤に染め、倒れているクルー。
能力を使おうと手をかざすが虚しく崩れ落ちる愛する人。

私の叫び声に重なる怪しげな笑い声。
女か男か…それすらも認識できないくらいに脆く崩れ去る精神。


知らない船に押し込まれ身動きが取れないように鎖で体を縛られる。
口には布。声を出すことさえ許されない。最後の望みだった目も、同じような布で縛られた。何も見えない。
それが恐怖を駆り立てる。

"少し、待っていろ"
中性的な声が耳に届く。
私はただ、頷くしかない。

次に目が見えるのはいつだろう。いや、もう一生来ないかもしれない。
女の子なら憧れる王子様。
いくら女だけの女人国だといってもそういう類の絵本はあった。

私に今王子様がいるとしたら…
ロー、貴方しかいない。
"助けて"声が出ない苦しさ。
そして、目の見えない恐怖、最後にみたクルー達、ローの姿…
泣くことしか出来ないのか…私が弱いから?

最後の頼みは…ビブルカード。
私が海に出てすぐ作ったものだ。
これしか…今の私に頼れるものはない。
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