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御伽アンダンテ【HQ】【裏】

第12章 灯火に陽炎


日が沈むのが早くなってきた。
夕方にはもう夜のような暗さである。
実行委員の指示に従い、主な片付けは明日行うので、軽い片付けをする。
その後は後夜祭がある。
いつもは参加していないが、最後というのもあり、の体調も良ければ少しだけいようと思った。
キャンプファイアーが焚かれ、その回りに体育座りをした生徒が大勢いた。
正面の簡易ステージには照明や音響もしっかりセットされており、本格的なものを感じる。
紙1枚のプログラムと細やかな菓子の袋詰めとジュースが回された。
「すごいね…!こんなのも、出来るんだね…!」
前の学校がどんなところだったかは知らないが、私立ならではの雰囲気だろう。
「芸人さん、来るの…?」
「俺はあまり詳しくないが、そうらしい」
特別ゲストのところによくわからない名前がある。
「ちょっと、見たいな…」
と嬉しそうに笑い、じっと紙を眺めていた。

軽音楽部の上手いとも下手とも言い切れない演奏、それに対抗して吹奏楽部のジャズが流れる。
演劇部の短いコントが終わり、それに合わせてプロの芸人による漫才。
生の演奏やそういったものに今まで興味がなく、きちんと見たことはなかったが、スポーツもこういうのも、直で観るというのは迫力が違う。
「すごいねー!」
何より、隣で楽しむ彼女の姿が、本当に心を豊かにしてくれた。
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