第10章 契り深く
「あの、ね……」
「ああ」
「牛島くんと、次の約束すると、凄く元気になる、気がするの……」
「ああ」
「だから、今忙しいと思うけど、もし、ちょっと余裕があったら…」
「余裕なくても、を優先する」
「そ、そこまでしなくても……」
「そうしたいんだ」
一度決めると、そう揺るがないのは知っている。
私は、なんて残酷なお願いをしてしまったんだ、と少し後悔をする。
「牛島くんの、大切な時間、少し、分けて…?
一緒に、いろんな事がしたいの……」
「約束する」
大きな小指が、小さな小指を少し荒っぽく、でも大切そうに絡めてくれる。
それは、私たちが出会った時に少し似ていて、懐かしかった。